本邦の歯科領域で唯一の臨床疫学分野
臨床疫学とは、疫学手法を応用して診療行為や検査・治療法などの有効性と効率性を評価する学問です。当分野は日本の歯科領域で唯一の臨床疫学に特化した教室として、2016年に新たに設置されました。
教育面では、学部教育において「Evidence-Based Dentistry(根拠に基づく歯科医療)」および国際的な視野を涵養するための科目を担当し、大学院教育においては臨床疫学教育を行っています。当教室では国際的な視点を持ち、エビデンスを活用するだけでなく自ら研究によってエビデンスを導き出すリーダーとなる歯科医師すなわち「国際的視点を持つハイブリッド型リーダー歯科医師」の育成を教育理念としています。
研究面では、日常診療における様々な疑問を解決するための臨床疫学研究を行っています。特に力を入れているのが、米国National Dental PBRNとの国際共同研究です。米国ではNIH(米国国立衛生研究所)が主導し、アラバマ大学およびフロリダ大学を中心として全米規模の歯科医師による臨床研究ネットワークを形成しています。これはPractice-Based Research Network(PBRN:歯科診療に基づく研究ネットワーク)と呼ばれ、臨床家の臨床家による患者の健康増進のための研究が行われています。当教室はアジアで初めての国際的なPBRNであるDental PBRN Japan(JDPBRN)を運営し、米国National Dental PBRNとの国際共同研究を行っています。
九州歯科大学臨床疫学分野は、まだできたばかりの新しい教室ですが、これから臨床疫学研究・教育を推進し、歯科医療の質の向上ひいては国民の健康増進に貢献してまいります。臨床疫学ならびに日米Dental PBRN国際共同研究に関心のある方々をお待ちしています。また、ご自身の診療所でデータを収集して研究にチャレンジしてみたいという社会人大学院生も歓迎いたします。
あなたの目の前の臨床現場の疑問を研究で解決することで、世界の歯科臨床を変えられるかもしれません。
We can change the world dental practice.
2016年6月吉日 九州歯科大学 臨床疫学分野 教授 角舘直樹
臨床疫学分野 教授
角舘 直樹
略歴
- 2003 年北海道大学歯学部卒。北海道大学大学院博士課程および京都大学大学院臨床研究者養成(MCR)コース修了。博士(歯学)および社会健康医学修士。
- 青森県立中央病院歯科口腔外科臨床研修修了。永山ファミリー歯科医院副院長、北海道医療大学歯学部助教、京都大学大学院医学研究科医療疫学分野特定講師、スタンフォード大学医学部予防医学研究センター客員准教授、九州歯科大学准教授を経て、2015 年4月より九州歯科大学教授。同年11月よりフロリダ大学歯学部客員教授兼任。2016年4月より現職。